インドの食品産業の規模は、2,000億ドルを超えると推定される。インド工業連盟(CII))によれば、2015年までには3,100億ドルに成長すると予想されている。インドは世界屈指の食料生産国であるが、世界の食品貿易でみると、インドの割合は1.5%以下である。これは、投資家と輸出業者の両者にとって、非常に大きな参入の余地があることを示している。
インドは、中国に次ぐ世界第2位の食料生産国であり、食料・農業分野で世界一になれる可能性もある。それは、インドは多様な農業気候条件を有するため、食用作物、業務用の穀物や繊維といった、様々な原料を生産する広大な土地に恵まれているからである。
| 経済白書 2006-07: |
| 2001-02年度以来、対GDP比での国内総貯蓄の増加傾向が続いている。貯蓄率は2002-03年度の26.4%から2003-04年度の29.7%、2004-05年度の31.1%、2005-06年度の32.4%と上昇している。
貯蓄率は上昇しているものの、最終民間消費支出(PFCE)は、名目値、対GDP比で、特に2001-02年度から下落傾向にある。2002-03年は63.1%であったが、2003-04年には62.1%、2004-05年には60.0%、2005-06年にはさらに58.7%へと下落。
この下落には、商品グループ毎のシェアという点で、消費内容の大幅な変化もともなった。PFCEでは食品、飲料、たばこのシェアが2002-03年度の43.3%から、2005-06年度には39.4%に下がった。その他の主な重要度の高い品目、すなわち運輸、通信については、PFCE比で2002-03年度の15.8%から、2004-05年度の19.1%と上昇している。
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インドは穀物と牛乳の生産で世界第1位、米、小麦、砂糖、果物・野菜、内水魚は世界第2位、綿花では第3位、水産物では第7位である。
また、インドは米国食品医薬品局(FDA)が海外に認めた世界最多の植物保有国である。
食品加工
加工食品市場は、食品産業の中でも最も重要な部門で、食品市場全体の32%以上を占めている。インドには十分な食糧供給がある一方で、食品加工産業はまだ初期段階にある。果物、野菜は生産量のわずか2%、牛乳は15%しか加工されていない。
それにもかかわらず、GDPの6.3%相当する加工食品産業は、国内第5位の規模を誇り、輸出ではインド全体の13%、産業投資では6%を占める。業界規模は付加価値品220億ドルを含め、700億ドルと見積もられている。この業界は、様々なジャンルにわたって外国直接投資を呼び込んでいる
この業界の年間成長率は約 7% である。収入の増加と人口圧力を考えると、成長率はすぐに 10% を記録するであろう。
食品加工業界の重要部門は、果物・野菜加工、水産加工、乳加工、家禽肉加工、加工・インスタント食品、アルコール飲料・清涼飲料、穀物加工などである。
政府のイニシアティブ
政府は、食品加工設備の設置や近代化、インフラ整備、研究開発及び人材開発支援、加えて、加工食品分野の成長を後押しするその他の推進手段に向け、資金援助を行うための計画をいくつか策定し実施している:
- 政府は、新たな農産物加工会社が果物や野菜の包装あるいは保存ビジネスを始める場合には、所得税法のもと、最初の5年間については利益の100%、次の5年間は25%の減税を行うことを許可した。
- 酪農機器については16%の消費税をすべて免除。家禽肉、水産物についての消費税は16%から8%に減税されている。
- ほとんどの加工食品は、小規模部門のために確保されている品目やアルコール飲料を除き、1951年に制定された産業法(開発及び規制)のもと、使用許可に関する部分の適用を免除されている。
- 食品加工業界は1999年に銀行貸出の優先業界に加えられた。
- 最高100%までの海外からの出資に対する自動承認が、アルコールやビール、また一定の条件のもと小規模部門向けに確保されている品目を除き、ほとんどの加工食品について利用できる。
- インスタント加工食品についての課税はすべて免除される。
- 冷凍車については、関税の免除に加え、消費税が16%から8%に減税される。
政府はまた、食品加工業界のための規制機関を創設し、製品および質の良い食品の輸入に関する基準を定めることを模索する、食品の安全基準法2005を制定した。この法律はまた、13あった食品に関する法律をひとつにまとめている。
外国直接投資
インドの食品業界の外国直接投資(FDI)は、まもなく30億ドルの目標に達する勢いだ。昨年1年間だけでも、食品加工業界におけるFDIの承認は倍増した。食品加工業界に流れ込んだFDIの累積額は、2007年3月に1兆2,760億ドルに達した。インド全体のFDIの2.68%である。
コカ・コーラ、ペプシ、ブリタニア、ダノン、ネスレ、 キャドバリー、 リーバーズ・ケロッグズ、ハインツ、インターナショナル・ベスト・フーズ、ウォールズ(Walls)、ペルフェッティ・ヴァン・メレ(Perfetti Van Melle)といった多くの大手多国籍企業が、インドでビジネスを展開している。同時に、ほかの多くの企業も、この業界への新規参入や業務拡大の計画を立てている:
- 世界最大のビール会社であるベルギーのインベヴ(InBev)は、同社の最重要銘柄ステラ・アートイス・アンド・ベックス(Stella Artois and Beck's)を販売するため、RKジャイプリア(R K Jaipuria)グループと合弁事業を始めようとしている。
- アメリカの巨大企業コカ・コーラは、今後3年間で2億5,000万ドルをインドに投資する予定。
- アメリカのプライベート・エクイティ・ファンドであるニュー・ヴェモン・プライベート・エクイティ(NVPEL)は、イースタン・グループ(Eastern Group)の主力会社で、コチを拠点とするマサラ(スパイス)の大手企業イースタン・コンディメンツ(Eastern Condiments)に1,100万ドルを投資する決定を下した
- • アメリカ最大のチョコレート及び製菓メーカーであるハーシーは、ゴドレジ・ビバレージズ&フーズ社(Godrej Beverages & Foods)の51%の株式を5,400万ドルで取得しようとしている
食品業界における新たな波は、外国企業が将来の市場規模に魅せられてやってきていることだけではない。食品につけられたメイド・イン・インディアのタグが移動し海外へと渡っていることもそうである。インドの食品ブランドと日用消費財は今、アメリカやヨーロッパの小売りチェーンの店頭で一番目立つところにどんどん置かれるようになっている。コブラビール(Cobra Beer)、ビカネルバラ・フーズ(Bikanervala Foods)、MTRフーズ(MTR Foods)のインスタント食品、ITCの キッチン・オブ・インディア(Kitchen of India)、サトナム・オーバーシーズ(Satnam Overseas)の、バスマティーライス(Basmati rice)などがそうである。
食品業界では、同時に、インドの企業も外国企業を買収している。例えば、タタ・ティーは、ポーランドのお茶ブランドであるビタックス(Vitax)とフロサナ(Flosana)をプレミアフーズSA(Premium Foods SA)から買い取った。UB グループはイギリス、グラスゴーにあるスコッチ大手のホワイト&マッカイを買収した。
食品小売業
食品業界の中で大きな関心を集めている部門は食品小売業である。現在、インドで小売されている食品のわずか1%しか、組織だった小売り販路を経由していない。しかし、この状況は次のような理由から変わっていくと見られている。それは、ライフスタイルの変化、核家族や共働き世帯の増加、消費者の好みの変化、可処分所得の増加などである。
この部門に強い関心を示している企業には、リライアンス、 タタ、ITCグループ、ロヒアス(Lohias)が手掛けるインド・ラマ(Indo Rama)、ムンバイのRKホスピタリティ(RK Hospitality)、キショレ・ビヤニ(Kishore Biyani)のビッグ・バザール(Big Bazaar)、 RPGグループなどである。現在、インドの食品小売市場の規模は、60億ドルと見積もられている。
外食産業
外食の人気と飲食店の収益にはちょっとした事情がある。外食は、もはや特別な日を記念するものではない。もともと家で食事をとっていた人々は、外食を好むようになっただけでなく、厳しい注文をつける。品質や多様性という観点で金額に見合う価値を求める。小さな町に様々な国の料理を出すレストランがひしめき合っているのも無理はない。イタリア料理、メキシコ料理、レバノン料理、日本料理、ケイジャン料理など、その種類は増えるばかりだ。
この傾向を裏付ける形で、市場調査会社のユーロモニター・インターナショナル社は、インド人が外食に使うお金額は、この10年間で倍増し年間50億ドルとなっており、今後はこれまでの半分の期間でさらに倍増すると話している。
インスタント食品市場における主要企業は、ITCフーズ、MTRフーズ、コヒノール(Kohinoor)、アムル(Amul)、ラジブホグ・フーズ(Rajbhog Foods )、エスニック・キッチン、テエィスティ・バイト(Tasty Bite)などである。食品加工産業省(MFPI)によると、半加工食品及びインスタント食品の業界規模は10億ドルを超え、年複利成長率で20%の成長となっている。
フードパーク
食品業界を後押しするため、政府は「農場の入口から小売店まで」食品加工サイクル全体を網羅する農業区域と巨大なフードパークの構想に取り組んでいる。30か所の地域が巨大フードパーク用地として、すでに特定されており、それぞれに最大1,890万ドルの助成金が政府から交付されようとしている。
また内閣は、食品加工業界のためのアクションプランを原則承認した。アクションプランでは、生鮮食品の加工レベルを20%向上させ、付加価値を20%から35%に、国際食品貿易のシェアを1.5%から3%に引き上げることを目指している。
農業ビジネス推進のための統合戦略および食品加工業界の展望・戦略・行動計画というこの計画には、巨大フードパークの設立、食肉処理場の近代化、屋台で提供される食品の質の向上、食品クラスターの細かな位置づけ、各部門の前後の連携の強化が謳われている。