インドのヘルスケア業界はここ数年飛躍的なペースで発展を続けている。この予期していなかった動きは、先進諸国がインドでは半額で質の高いサービスを受けられることに気がついてから始まった。
インドのヘルスケア市場は300億ドル規模と推定され、医薬品、保健医療、医療機器、診断装置、手術用機器や備品などが含まれる。この業界の売上は、国民総生産の5.2%を占めており、雇用者は400万人以上にのぼる。ヘルスケア関連支出の80%近くは、個人支出である。
インド工業連盟(CII)とマッキンゼー社の合同調査レポート「インドの医療事情」によれば、インドでは今後5年間で457億6,000万ドルが医療に費やされる見通しだ。これは、急激な経済成長に伴って人口構成に変化が生じ、生活習慣病や医療費が増加していることによるものである。
医薬品部門の拡大が予想されていることもあり、インドの医療市場全体の規模は今後5年間で530 億から730億ドル(GDPの6.2%から8.5%)にまで拡大する可能性がある。
2012年の時点では、民間医療費がもっとも多くを占めていると予測され、現在の倍の357億ドルにまで膨れ上がると考えられている。健康保険の対象が富裕層、中産階級にまで拡大されれば、さらに89億ドル増加する可能性もある。
投資
インドの新興中産階級の購買力の向上に加え、質の高い医療に対する支払い意欲が高まってきたことで、質の高い民間病院が台頭してきた。高品質な医療サービスに対する需要の高まりに対応するため、様々な企業が全国に病院チェーンを展開している。
インド国内の大手民間病院チェーンとしては、アポロ病院(Apollo Hospitals:41の専門病院)、フォルティス・ヘルスケア(Fortis Healthcare:12病院)、マックス・ヘルスケア(Max Healthcare:8病院)、ウォッカード病院(Wockhardt Hospitals:10病院)、マニパル・グループ(Manipal Group)などが挙げられる。
また、アルテミス・ヘルス・インスティチュート(Artemis Health Institute)、パラス・グループ(Paras group)、メディシティ(MediCity)なども参入の準備を進めている。
国内の社会経済的な変化により急成長を遂げたインドの医療産業は、魅力的な投資先となっている。
民間医療市場における雇用者の90%近くが個人経営であり、これは企業体にとって大きな開拓の余地があることを意味している。
そのために多くの世界的大企業も、インド医療産業における潜在的な収益の開拓に多大な興味を示している。すでにこの市場に参入した大手外国企業には、シンガポールのパークウェイ・グループ(Parkway Group)、パシフィック・ヘルスケア・ホールディング(Pacific Healthcare Holding)、マレーシアのコロンビア・アジア(Columbia Asia)、ドバイのEMAARグループ(EMAAR Group)、そして米国のプレクサス・ヘルスケア・パートナーズ(Prexus Healthcare Partners)などが挙げられる。